戸田てこの「て、ことだ!」 -2ページ目

わがままー

「でっかいしろくまのような人がいいな、あたし」



と言っていたら

ほんとうにある日、でっかいしろくまのような人がやってきた


ていうか、いつのまにかベッドの中にいるし。



「もうごちゃごちゃした人はいいの。ふつーの人がいい。ふつーが」


と言っていたら

そのしろくまはものすっご、ふつうだった。


ふつうすぎて異常なくらいです。

水族館もイルミネーションも夜の噴水も落ち葉も

その人はほとんど興味がなく、

ただ感動する私の横でぬぼーと立っている。楽しいのか心配です。

ほとんどハイテンションになることがなく

私のことも好きなんだか好きじゃないんだか

彼がいうには好きらしいが

愛情表現がふつーすぎてわからない。



ただ、そんなふつうのひとにも

すばらしい機能がそなわっていて



そばにいるだけであたたかいのです。



乙女な比喩ではなく、実際彼ときたら放熱できるのです。

服をきていても

15cmほど離れていてもちゃんとあったかい。

すごい。どういう仕組みだ?

さすがしろくま。

夏はこまるな。



だけど今は冬なので

しろくまのいないベッドはよく眠れるが実際寒いよ。

一応ちゃんとさびしいよ。

不眠症にならない程度にたずねてきてほしい。

でも、くせにならない程度にほどよく間隔をあけてほしい。







2007/07/17

すき

2007/07/13

まだ大丈夫
と言われると

なんか悔しくなるんだよなぁ

意外に頑丈だってこと私だってほんとは知ってる


まだ大丈夫
あしたはくるし
仕事もあるし
家もあるし
当分のお金もある
体力もあるし
わかさもそこそこ
愛嬌もあるし

まだ間に合う




まだあきらめるのは早い

女の子やめる

髪を切ろうかな
また男の子に戻ろうか

女の子でいることがつらい
心細くて小さくて
大キライだから

髪を切ろうか



あのひとの
触ったところ
全部切り離したい


忘れられないから
とってしまいたい



かみを切りたい
切り離したい




わたし
やめるよ
こんなに苦しいなら
女の子やめる。

くちてく

めをとじると
底があつい

また波がやってきた



今日は
昨日は
おとついも
がんばったから

ほんのちょっと
ないていいかなあ




いっぱい
笑ったから


いまはすこし


泣きたい








誰にも知られずに
朽ちてく

アイズ

ねむたいあたしの瞳をのぞきこんで
あなたが笑う


「もう」
と言って
それから、電車の向かいの窓に視線を移してなにかを考えていた



その横顔が
ちょっと
かっこよかったから

そのまま
寝たふりをしていたら

あなたは
また
ひとりでちょっと笑って

肩を近付けて少しさげた


いつでもわたしの
まくらになれるように


たとえば
こんなときに


あたしは
あなたを信じてる



あたしたちを
信じてる



形も
約束も
言葉も
名前も


なんにもないけれど



あたしのまくらは
あなた



ひとに
笑われてもいい



あたしは
あなたを信じてた


ずっとずっと
信じてきた


あまりにも

あたしだけが
会いたいんだなあ






このよるのした、
たったひとりで


この恋と
立ち向かってる

つもりだけ勇者

あたしのほうが
ずっとずっと小さいのに
あたしのほうが
だきしめられているのに

あなたとこうするときはいつも
あたしが守ってやるんだと
おかしなひたむきさで思っていた

ちいさいけれど固くて熱い種になったような気持ちで
あなたの寝息のなかにいた

ない

スイッチがどこかわからなくて
とほうにくれる

どうやっていつも元気を出してたんだっけ


鍋を温める間ちょっととほうにくれる

あんまりに
なんにもない私



こんなはずじゃないと続けて、どのくらいたっただろう

いつまで
こうしていなきゃいけないんだろう

できないよ

ちいさくなってふとんの中で

ただ目をつむる

できるだけぎゅっとしないと

じぶんがどこにあるかわからない


流れた涙だけはしょっぱくてあつくて

これだけ見たらりっぱなにんげんなのに


ちいさくなってふとんの中で

ただ目をつむる

でもそんなふうに子どものふりしたって

もうだれもまもってはくれない

神さまに「かわいそう」をアピールしたって

あたしの順番はこないじゃないか


やめてしまえよ


ずっとさっきから言っている

あたしかな?あたしじゃない?


どれだけ泣こうとわめこうと

変われないのです

さよなら自分!とすべて脱ぎ捨てても

できないできないできないよ

もうこれ以上