アイズ | 戸田てこの「て、ことだ!」

アイズ

ねむたいあたしの瞳をのぞきこんで
あなたが笑う


「もう」
と言って
それから、電車の向かいの窓に視線を移してなにかを考えていた



その横顔が
ちょっと
かっこよかったから

そのまま
寝たふりをしていたら

あなたは
また
ひとりでちょっと笑って

肩を近付けて少しさげた


いつでもわたしの
まくらになれるように


たとえば
こんなときに


あたしは
あなたを信じてる



あたしたちを
信じてる



形も
約束も
言葉も
名前も


なんにもないけれど



あたしのまくらは
あなた



ひとに
笑われてもいい



あたしは
あなたを信じてた


ずっとずっと
信じてきた