わがままー | 戸田てこの「て、ことだ!」

わがままー

「でっかいしろくまのような人がいいな、あたし」



と言っていたら

ほんとうにある日、でっかいしろくまのような人がやってきた


ていうか、いつのまにかベッドの中にいるし。



「もうごちゃごちゃした人はいいの。ふつーの人がいい。ふつーが」


と言っていたら

そのしろくまはものすっご、ふつうだった。


ふつうすぎて異常なくらいです。

水族館もイルミネーションも夜の噴水も落ち葉も

その人はほとんど興味がなく、

ただ感動する私の横でぬぼーと立っている。楽しいのか心配です。

ほとんどハイテンションになることがなく

私のことも好きなんだか好きじゃないんだか

彼がいうには好きらしいが

愛情表現がふつーすぎてわからない。



ただ、そんなふつうのひとにも

すばらしい機能がそなわっていて



そばにいるだけであたたかいのです。



乙女な比喩ではなく、実際彼ときたら放熱できるのです。

服をきていても

15cmほど離れていてもちゃんとあったかい。

すごい。どういう仕組みだ?

さすがしろくま。

夏はこまるな。



だけど今は冬なので

しろくまのいないベッドはよく眠れるが実際寒いよ。

一応ちゃんとさびしいよ。

不眠症にならない程度にたずねてきてほしい。

でも、くせにならない程度にほどよく間隔をあけてほしい。