戸田てこの「て、ことだ!」 -6ページ目

うちの友達。

もったいなくて、すきにならないようにしている友達がいます。


その子と遊んだことや、その子が言ってくれたこと、してくれたことを

あんまり嬉しそうにうちが報告すると

友達はみんな、「その子と付き合えばいいやん」といいます。


でも、うちは

その子がほんまに大事やから、

気をつけています。


ほんまは、

どきどきしないわけじゃなくて、


今日なんか、

夜のライトアップされた公園を

二人で歩いていて、

途中できれいな池とかあったりして、

「結婚式でどういう曲流したい?」ていう話をしていて

二人で「バンザイ」を歌いながら歩いてて


その子はどうだかしらないけど、

うちは、

どきどきしないわけじゃない。


だけど、そのときも

その子にうちの大親友が合いそうやから

今度紹介してあげるって話で盛り上げて

二人で、メールどんなん打とうか作戦とか立てて、

その子もうちに後輩を紹介するって

合コンをセッティングしてくれて、


うちがこれ以上どきどきしないように

気をつけていました。


いつもまっすぐで、

でも昔の彼女が忘れられんくて、うじうじしたり、

友達思いで、

いつもへんなお土産くれたり、

家族の話をすると

目がきらきらしたり、

うちのこと

叱ってくれたり、わらかしてくれたり、励ましてくれたり、


その子に対して

もし、好きになったり

言えない様な気持ちになって気まずくなったり、

そういう風になるのは

もったいなくてできない。


ある意味、

好きな人より大事にしている人かもしれません。


たぶんこの人とは一生友達だろうな。

と思います。

と同時にそれが、すごく心強く、嬉しいことだったりします。


でもきっと、

彼の結婚式でうちは泣くんやろうなって思います。

それは、嬉し涙と

それからもう一つの、名前がつけられない気持ちの涙が

はんぶんはんぶんに混じった涙やろうと思います。




もったいなくて好きになるのをやめたくらい

大好きな友達がおること。


電車が動き出しても手を振りつづけてくれた友達に

手を振り返しながら、


うちは、今日とってもうれしかった。

ええじゃないか

友達の友達は友達だ!


ね?

まみちゃん、

いとちゃん、

つばさちゃん、

とみちゃん☆

いらいらする。

知らない。

これ以上、なにをどうがんばれっていうの。

知らない。


だれもあたしにがんばれ、って言うな。


だれもあたしに

前に進めって、言うな。


ずっとこのままなら

ここでいま終わりたい。


もし、がんばれって言うならその代わりに

あたしのスイッチを消しなよ。

そのほうが簡単だよ。

はねのなごり

Tシャツのしわの数に目をやる君の痩せた両肩にある羽の名残

ビーカー

ビーカーがふたつあります。


ひとつには青い液体

もうひとつには赤の。


あたしのなかには

ふたつ

ビーカーがゆれています。


死のうかどうしようか

生きようかどうしようか


あいたいくるしいよわいうれしい


いっそのこと

ビーカーを壊して

すべてを混ぜ合わせて


ぐちゃぐちゃしたまんまのあたしを


さらけだしてみようか。





そんなことは出来たためしがなく、


ビーカーがゆれています。


きらわれたくないきらわれたくない


人というのはそうやって

ビーカーをゆらしたまんまで

うまくやっていかなければ


うまくやっていかなければ。




ほんとうの私を見ることは私の目をもってしてもかなわないことでしょう。

しぜん、

ほんとうの私がうけいれられることはありえない。

優しい人はなんにも知らないんだ、ばかやろう。

僕じゃ君を幸せにできないよ

と優しい人はいう


ほんとうはそういう理由じゃなくて


愛していないだけ

好みじゃないだけ


君は好みじゃないんだよ


シンプルにそれだけ言ってくれたら。

せめて終わらせるのだけでも手伝ってくれたらな



一人で始めたことだから

勝手にはじめたことだから

一人で終わらせなくちゃいけないんだよ

片思いなんてそういうもんなんだ


あなたに始まりを強要することも

終わりを強要することも


わたしはそんな権利すら

はじめから持ってなかった


ひとりで線をひいて

ひとりで忘れようと砂をかんで


なんにもしらない

優しい人はなんにもしらない

私と詐欺師

嫌いになれないから困ってるんだよね

私があなたを好きでいることは

ずっと前に決めてしまったことだから


かわらないからこまってるんだよね


笑ってしまった


悲しくて笑ってしまった


あのね


だまされてるのも

だましてるのも

どっちも私だった


私一人だけで

お芝居してたんだって



笑ってしまった。

あした

あしたは

あしたは


あしたはあたしじゃなかったらいい


こんなあたしじゃなかったらいい


明日朝起きたら

あたしがあたしじゃなくなっていたらいいのに


だまされていたことも

うそをつかれていたことも

あいされていなかったことも


なんにも知らないひとに

なっていたらいいのに


あたしを利用していたことも

あたしのことなんて考えたこともないことを

それでも信じようとしてたことを

気づかないふりをして

ただしんじようとしていたことを


なんにも知らないあたしだったらいいのに




あたしはあたしじゃなくなって

あのひとの愛するだれかになって

ふつうのしあわせを

ふつうにかみしめながら

くらす


そういうひとに生まれてくればよかったのに


そういう役割が与えられていないのに

どうしてあたしはあの人をすきになってしまったんだろう


なんのために

なんのために



別の人になりたい

別の人になりたい


あたしじゃないひとに

あしたなれたらいいのに


もうなんにもこれ以上は

吐けない

くちとくち

すき

すき


すき

すき



思っていたら


すき



きす



なりました。

あたしは、

あたしは、おもしろいんだって

あたしは、強い子なんだって

あたしは、楽しそうなんだって

あたしは、ふつうじゃないんだって


だとしたら、


あたしは、どこにもいないの

あたしは、誰の心にも本当は住んでいない

あたしは、ひとりぼっちなの


あたしは、種に戻りたい

ひざを抱えて固い殻の中へ

そのまま、ひっそりと土の中で

あたしは、外へ出たくない

誰の声も聞きたくない




あたしは、

どこにいるの?


どこでなら

あたしでいられるの?


あたしを知ってる人は

どこにいるの?

あたしの「ほんとう」を。