考察 | 戸田てこの「て、ことだ!」

考察

これから先


私があの人を失くすことはないだろう


たとえ私が他の誰かに出会っても


あの人と二度と会わなくなったとしても


私があの人を失くすことはないだろう




あの人と私の間にあるものは


そういったたぐいのものではないからだ。


あの人と私の間にあるものは


「なくならないもの」だからだ。


それは最初から「ない」ともいえるものかもしれない。


そこからは何の利益も生まれないし


何の被害も生まれない。


それ自体が何も起こさないということは


あるいはそれは「ない」ということではないか。






あの人が私の世界から消えても


私にはもうわかってしまっている


私はあの人のことをずっと好きだろう


それはもう恋ではなくて


もっと先の大きな気持ちだ


あえなければさみしいけれど


怖くはない。


あの人もまた、私がどうなろうとも


私を失くさないことを


私はわかっているから




私が私でなくならないかぎり


あるいは


私が私でなくなったとしても


あのひとの目は私をとらえ


私が