地虫 | 戸田てこの「て、ことだ!」

地虫

あの人を思った分の気持ちが

これからはあてもなくまっすぐ何もない空に

放射されていくのだと

そのひかりの筋で少しでも

わたしの背筋がしゃんとのび

寒い朝の光のように

わたしの目をすっきりとさせ

ああすこしでも

このみにくいかたちから

コールタールのようににじみ出た

ねばついたあたしの思いを

レーザー治療のようにそのひかりで消しておくれと

思うのだけど

まんがのように私の泣いた後の顔なんか

ちっともすがすがしくはなく

あああたしはちっともちっともきれいなんかになれないのだ

あなたはあたしをきにいらなかった

きにいらなかったあたしになんてあたしはうまれたくなかったよ

あたしは繭という名前だから蝶にはなれないんだろう