無言の二人 | 戸田てこの「て、ことだ!」

無言の二人

どんなときに私への気持ちが高まるの?


という

とてつもなく傲慢な私の質問に

あの人はいつもどおり

素直にきちんと答えてくれた。


二人がだまって並んでいる時が、いちばんいい。

二人がだまってるんだけど、今同じことを考えてるし、わかってるなって

思うときが、いちばんいいよ


私は

うれしかった。

私だけがそんな風に思ってるのかもしれないな、って

ずっと思っていたから。


二人で並んでただベンチに座ってるとき

あのときに

わたしはいちばん

あの人のことを感じる

あの人のことがわかる

あの人が私をわかってくれてるということが、わかる


でも、

そう思っているのは

私のほうだけかもしれないと

思っていたから

昨日、すごく嬉しかった


すこしお酒を飲みすぎて

見上げたら

はんぺんみたいに

白くて柔らかい

あの人のあごが

じぶんのおでこの上にあった


あの人の胸は

かがくのにおいがする。