12月のこと | 戸田てこの「て、ことだ!」

12月のこと

かなしいわ


うすくとがったこおりのように


あたしがあなたにつける歯形は


とぎれとぎれの点線で


すぬーぴーの足あとのよう


だれもきいたことのない

おんがくを


あたしはきくの


がらんどうのむねのなかで


あなたはいつかいなくなる


そのまえにあたしがきえなければ


それができなかったから

失格だったのね


だからあんなに


しるしをつけたのね


あなたはあたしの点線を

しらないままシャツを着た


あたしはどうしてきえてなくならないのか

それだけが不思議だった


12月のこと